サプリメント

朝礼中に倒れる、立ちくらみや顔色の悪さを経験すると、すぐに貧血を思い浮かべるでしょう。
これらの症状は、長時間の立ちっぱなし、急に起き上がったときなどに脳への血液供給量が低下したときに起こる一時的な「脳貧血」です。
本当の意味での貧血は手足の冷えやしびれ、頭痛、息切れ、疲労、動悸などの症状があらわれます。
立ちくらみが起きたとしても貧血とは限らないのです。

 

人のからだに存在する鉄のうち、約7割は血液中に入り酸素をからだ中に運ぶ役割を果たし、残りの3割は肝臓や筋肉などに貯蔵されています。
この貯蔵のおかげで、鉄が不足してもすぐには貧血の症状が出ることはありません。
逆に言えば、これら貧血の症状が出たときには、かなり体内の鉄が減ってしまっているということになります。

 

鉄が含まれる食品には豆、ほうれん草、ひじきなどの植物性のもの、レバーやアサリなどの動物性のものがあります。
植物性の食品に多いのが非ヘム鉄で、動物性の食品に含まれるヘム鉄に比べると鉄分の吸収は劣ります。
しかし非ヘム鉄もビタミンCやクエン酸、タンパク質と一緒に摂ると吸収されやすくなります。

 

サプリメントで鉄分を補給する場合ですが、時々サプリメントを飲んだあとに胃が重くなり食欲がなくなってしまう人もいるようです。
その場合は食事のすぐ後に鉄のサプリメントを飲むようにすると症状が軽くなることもあります。
また、鉄そのもののサプリメントでなくても、ウコンなど鉄が含まれたサプリメントもありますのでそちらを試してもよいでしょう。
食事で摂れない栄養分を補う目的のサプリメントなので、かえって食欲がなくなっては意味がありませんからね。

 

マグネシウム

一時期、にがり商品が爆発的に売れた頃がありました。
それまでは家庭で豆腐を手作りする人のために豆乳などと並べられていたものが、いつしかサプリメントのように健康食品やダイエット食品として販売されるようになってきた記憶があります。

 

なぜにがりがそれほどにまで話題になったかと言うと、糖や脂肪の吸収を抑える、とかエネルギーの代謝を活発にする、といったような宣伝がなされたからだと思います。
にがりの主成分は塩化マグネシウムで、実際に便秘薬として病院で処方もされる成分です。
溜まっていた便が排出され、お腹がすっきりするという意味でダイエットと捉えられなくもありませんが、実際ににがりに痩身効果があるという科学的根拠は明らかになっていないようです。

 

マグネシウムの働きとして挙げられるのは、歯や骨を丈夫にすること、神経伝達や筋肉収縮などへの関与などです。
丈夫な骨を作るためには、マグネシウムとカルシウムをバランスよく摂ることが大切です。
理想的な摂取量はマグネシウム1に対してカルシウム2と言われています。

 

また最近ではマグネシウムが偏頭痛の予防にも効果がありそうだ、と話題になっているようです。
マグネシウムの持つ血管痙攣を予防する作用、炎症物質の放出を阻害する作用などが、頭痛の原因となる脳血管の緊張を和らげるためではないか、と言われています。
ただし、偏頭痛があるからと言って自己判断でマグネシウムを過剰に摂りすぎてはいけません。
過去に誤ってにがりの原液を飲んでしまった女性が死亡した事故も発生しています。

 

マグネシウムは精製されていない玄米や納豆、豆腐、アーモンドなどに多く含まれます。
サプリメントに頼らず、毎日の食事の中でも十分に摂っていける栄養素です。
食事を見直すときに、例えば白米に玄米を混ぜてみるなど、毎日自然にマグネシウム摂取を続けられる工夫をしてみてはいかがでしょう。

キチン・キトサン

あるダイエットサプリメントの宣伝広告で、水と油を入れたビーカーに有効成分を加えると油が固まりになり、体内でも同じように食べた油を固まりにして排出します、といった類のものを見たことはありませんか?
現在ではこのような広告は規定違反とされ、ほとんど見ることはなくなりました。

 

このダイエットサプリメントはおそらくキチン・キトサンを含むもので、キチン・キトサンが食べ物の中に含まれる脂肪分や体の有害物質を包み込んで体外に排出する働きがあるのではないか、という情報に基づいたものであると思われます。
しかしそのことを裏付けるデータは十分ではなかったようです、残念ですが・・・

 

キチンはカニやエビなどの甲殻類の固い甲殻部分に含まれている成分で、キトサンはそれを工業的に加工したものです。
キチン・キトサンは水に溶けにくい食物繊維で、消化されにくい性質を持つためそのまま腸に届き、腸壁を刺激したり老廃物を取り込んで便のかさを増やすなどして排便を促します。
油の吸収をシャットアウトして劇的なダイエット効果を上げることは無理かもしれませんが、便秘の解消には効果が期待できるようです。

 

また、最近ではキトサンがコレステロールの上昇を防ぐ働きを持つことがわかってきました。
コレステロール値が高めの人が、キトサンを摂り続けているうちに、正常値に入るようになった、という体験談もあります。
また、キチン・キトサンにはグルコサミンも含まれているので、関節炎や関節の痛みにもよいのでは、と期待されています。
ただし、キチン・キトサンのサプリメントにはカニを原料としているものが多くあり、甲殻類アレルギーがある人には注意が必要です。
植物を原料としている商品もありますが、表示をしっかり確認してから摂取するようにしてください。