ひざの痛み

変形性膝関節症の保存療法

残念ながら変形性膝関節症になっていると診断された場合、当然ですがその治療法を探っていくことになります。
とはいえ、一度すり減った軟骨を元に戻すことは不可能で、つまりこの病気を完治させる事は非常に厳しいというのが、現代医学においての現状です。
ただ、痛みを緩和させる、あるいはほとんど感じないくらいにしてしまう事は可能です。
その為には、適切な治療によって痛みをあまり感じないような状態に膝を戻す必要があります。

 

その方法の中の一つに、保存療法というものがあります。
保存療法とは、簡単に言えば外科手術をしない治療方法です。
外科的な処方をせず、患部を保存した状態で治療するということですね。

 

この治療方法が有効かどうかというのは、その人の病気の進行度にもよります。
手術をしないとどうしようもないというケースも当然出てくるからです。
逆に言えば、ある程度軽度な状態であれば、リスクのある手術という選択肢を選ばずとも、痛みを緩和させる方法があるということですね。

 

変形性膝関節症の保存療法は、主にリハビリテーションや薬物療法、装具療法などが該当します。
リハビリテーション、すなわちリハビリというと、事故や病気で動かなくなった部位を動かすようにする治療ですから、変形性膝関節症の改善もその事項にあてはまります。
ただ、これで骨や関節の変形を直接矯正するのではなく、筋肉を適切な量つけて、その筋肉によって膝を支え、体重による負荷を軽減し、病状の悪化を防ぐというのが第一です。

 

さらにその筋肉によって、関節の稼動域を増やしていき、歩きやすい状態に持っていくという目的もあります。
装具療法の場合は、装具を使用してトレーニングを行い、改善していくことになるでしょう。

 

変形性膝関節症の薬物療法

保存療法の一つである薬物療法は、ある程度症状が進行している場合や、身体的にリハビリが難しい状況にある人に対して行われます。
当然ですが、薬物療法は、薬物を投与することで、変形性膝関節症に対して有効な効果を得る事が目的ですね。
薬物療法を試すにあたり、一つ絶対に知っておくべき事があります。
変形性膝関節症を劇的に治癒させる薬は、この世には存在しないということです。

 

この薬物療法は、膝の痛みを軽減させる鎮痛剤や、患部を冷やす湿布、膝に水を溜めにくくする漢方薬などを使用します。
しかしこれらは、あくまでも辛い部分を緩和させる為のものや、これ以上の悪化を防ぐ為の薬であって、変形性膝関節症を根本から取り除く効果があるわけではありません。
この薬物療法も、根気強い治療が前提と言えます。

 

薬物を使用した治療方法は、リハビリなどと併用して行うことも少なくありません。
リハビリである程度膝の周囲の器官を鍛え、改善していく過程では、多少無理をすることも必要です。
そうなれば、痛みも当然出てきます。
その痛みを薬物で和らげることで、リハビリの苦難を緩和させる事ができるのです。
そういう意味では、保存療法は運動と薬の両面からのアプローチと言えるでしょう。

 

ただ、薬物療法には、少なからずリスクがあります。
それは副作用です。
効果の強い薬の場合は、大抵の場合副作用があり、その副作用によって苦しい思いをするケースもあります。
とはいえ、変形性膝関節症に使用する薬の副作用は、それほど辛いものではないので、そこまで心配する必要はないでしょう。

 

変形性膝関節症の温度差療法

膝の病気として最もメジャーな変形性膝関節症の有効な治療方法として、「温度差療法」というものがあります。
この療法は、温熱療法と冷却療法を共に行い、炎症を和らげるという方法で行われます。
それぞれに効果がありますが、これを交互に行う事でさらに効果が高まるのが、この療法の特徴と言えるでしょう。

 

まず、温熱療法ですが、これはお風呂やサウナに入るというものではありません。
膝だけにお湯で浸したタオルをあて、それをラップで包んで温度が逃げにくい状態にしてしばらくそのままにしておくという方法をとります。
もちろん、お風呂でお湯につかるのも有効ですが、お風呂だと長時間は難しいので、局所的に温めるのです。
できれば一日数回、断続的に行うと良いですね。

 

温熱療法は温める事で血行をよくし、新陳代謝をよくすることで、痛みを緩和できるという仕組みになっています。
年間いつでも有効です。
お風呂だと夏場はかなりきついですが、局部なのでそう辛くもありません。

 

一方の冷却療法は、炎症を抑えて痛みを軽減するために行います。
膝が腫れていたり、むくんでいたり、熱を持っていたりして痛みがある時に有効です。
方法としては、アイスノンを利用したり、氷嚢を使ったりするのが望ましいでしょう。
ただのビニール袋を使う場合は、氷水で浸し、タオルでくるむと、丁度良い温度になります。
直接だとちょっと冷たすぎるので、注意が必要です。
一度に冷やす時間は、30分程度が望ましいでしょう。

 

この二つの療法ですが、交互にやるとは言っても、どちらかが終わった後にすぐ行うのはあまりお勧めできません。
1時間くらい置いた方が良いでしょう。
肌が傷む原因になります。

 

変形性膝関節症の運動療法

変形性膝関節症の場合、ひどい状態になると、膝にかなり不自然なねじれが生じていたり、歪んでいたりします。
それは実際に外見からもわかるくらいの歪みとなっていることが多く、かなり痛々しい状態と言えます。
この場合、痛みはかなり厳しい状態になっていますが、緩和だけでなく、外見上の整形という意味でも、運動療法が必要となります。

 

運動療法というのは、簡単に言えばリハビリです。
変形してしまった膝の形を可能な限り矯正し、少しでも痛みと外見上の歪みをなくす為の方法なので、ある程度症状が進んでいる人は、この運動療法で改善を図る事になります。

 

変形性膝関節症の運動療法は、大腿四頭筋の鍛錬が中心となります。
この部分を鍛える事で、膝をサポートする筋肉が強くなり、膝の矯正に繋がります。
痛みもかなり和らぐ事が考えられます。
ただ、この大腿四頭筋だけでなく、太もも全般の筋力強化が重要です。
膝を支えている筋肉をしっかり鍛えれば、変形性膝関節症のそれ以上の悪化は確実に防げるのです。

 

しかし、この運動療法は結構つらいです。
特に高齢者が多い変形性膝関節症では、運動療法を行おうとしても、なかなか長続きしないのが実情のようです。
その為、最近ではお年より向けにプログラムされたエクササイズが人気を集めています。
身体にできるだけ負担をかけないように、効率のいいプログラムになっているので、根気さえあればどんな人でも継続は可能です。
一方、やりすぎも膝への負担になるので、しっかりとプログラムを守る事が重要です。

 

変形性膝関節症の手術療法

ある種、変形性膝関節症の治療における最後の手段と言えるのが、手術療法です。
実際にはこれが最後の手段と言えるほど後回しにするような方法というわけでもないのですが、予後の事やコストの面を考えると、やはり最後という事になるのでしょう。

 

手術による改善は、他の方法と比較した場合、やはり歴然とした違いがあります。
とはいえ、慢性的な変形性膝関節症に対して手術療法を施す事はほとんどありません。
手術は、基本的には半月板が損傷している場合や、病気による変形などが見られる場合に行う治療方法です。

 

軟骨のすり減りがそれほど多くない場合は、半月板を治すための関節鏡手術を行います。
また、変形が大きい場合は骨を削ったり切ったりする手術を行う事もあります。
これだけ聞くと、かなり怖い手術に思えますが、実際にはほとんどリスクや痛みはなく、合併症の心配もほとんど必要ないので、不安を必要以上に煽ったり、溜め込んだりする必要はないのです。

 

あまりにも症状が酷い場合は、人工膝関節全置換手術を行う事もあります。
名前の通り、人口の関節に置き換える手術です。
こちらは結構大掛かりな手術ですが、それでもさほどリスクはなく、実際1年間で数万件の術例があるほど人気を集めている手術です。

 

ただ、手術というのはどうしても回復に時間がかかります。
2〜3ヶ月程は痛みも残り、会社勤めも難しい状況となるので、それが原因で受けられない人も多いくらいです。
通院も大変なので、周囲のサポートがないと治療法としてはなかなか選択できないというのが実情ですね。