漢方薬について

不眠症

疲れていて眠いはずなのに布団に入ると目が覚めてしまう、なかなか寝つけない、寝ても朝早く目が覚めてしまい、一度目が冷めると再び眠りに就くことができない・・・不眠症は、当人にとって非常につらい症状です。悶々としながら布団のなかにいるのは、苦痛というにふさわしいものです。

 

西洋医学の場合は、不眠症ならば睡眠薬を飲むということになりますが、睡眠薬は習慣性や副作用があることから敬遠されがちです。漢方薬の場合は、即効性はありませんが、その分、副作用の心配もあまりありません。また、漢方薬は、鎮静作用だけではなく、身体全体の調子を整える効果もあります。

 

漢方薬が有効な不眠症は、不眠の原因となる疾患がない場合です。「リュウコツ」「サンソウニン」「ブクリョウ」といった、鎮静作用のある生薬が配合されているものを用います。

 

広く用いられるのは、「ヨクカンサン」や「ヨクカンサンカチンピハンゲ」です。虚弱でない人で、怒りっぽく、神経質な人に対して有効です。

 

一方、体力がない虚弱な人、心身ともに疲労している人には「サンソウニントウ」が向きますが、この薬は、胃腸の弱い人には不向きです。胃腸が弱いという場合には、「キヒトウ」を処方します。さらに、気管支に障害がある場合は、「チクジョウンタントウ」がいいでしょう。

 

ただし、漢方薬は、西洋薬と異なり、病名や症状だけから適切な処方を選択することは出来ませんので、専門家の判断に従うのが賢明と思われます。ここで示した漢方薬は、あくまでもおおよその目安と考えてください。

 

鼻アレルギー

鼻アレルギーの症状には、くしゃみや鼻づまり、鼻水があります。その他、涙がとまらなくなる、顔や鼻がむずむずする、目がかゆい、といった症状がでることもあります。なかでも毎年、春先になると多くの人が苦しめられる花粉症です。花粉症は鼻アレルギーのなかでも、ある一定時期になると発病することから「季節性」と呼ばれるものです。一方、室内のちりやペットの毛、家ダニなどが原因で起こる鼻アレルギーは、「通年性」といわれます。

 

鼻アレルギーに広く用いられるのが、「ショウセイリユウトウ」です。体力が中程度ある人に主に処方され、鼻水や鼻づまりに効果があります。しかし、この薬を用いると、胃腸障害を起こすという場合は、「リョウカンキョウミシンゲニントウ」が用いられます。この薬は、冷えにも効果があります。

 

目や顔のかゆみがある場合には、「エッピカジュツトウ」「ビャッコカニンイントウ」が用いられます。体力がある、実証のタイプ向きです。虚証の人に用いる場合は、量を減らすなどの工夫をします。

 

花粉症の初期に、体力のある実証の人に用いられるのは、「マキョウカンセキトウ」です。

 

ただし、漢方薬は、西洋薬と異なり、病名や症状だけから適切な処方を選択することは出来ません。病気の人それぞれの「証」といって、体質、体力、抵抗力、病気の進行具合などを総合的な判断して用いる漢方薬を決定するのです。証の判断は、漢方医学の専門家にゆだねるのが理想的です。ここで示した漢方薬は、あくまでもおおよその目安と考えてください。

 

冷え性

これだけ多くの人、特に女性、が、冷えに悩んでいるにもかかわらず、(不思議なことに)西洋医学には「冷え性」という病名はありません。したがって冷えに効く薬も存在しないのです。そのため冷え性は、漢方薬の効果が非常に期待される領域といえるでしょう。

 

ひとくちに「冷え性」といってもその症状はさまざまです。下半身が冷えるにも関わらず、顔はほてっている、背中や腰に冷えを感じるもの、などです。

 

原因もこれといって特定できません。貧血や、血の滞り(漢方医学で「お血」と呼ばれる症状)、体内の水分が偏っている状態、自律神経失調症、などが冷えの原因となります。いずれの症状であれ、その人の証と合った漢方薬を選ぶことが、症状の改善に最も重要となります。

 

たとえば、色白で水太りの傾向があり、体力がない人で、貧血気味、水毒のある人、また女性なら月経異常がある場合は「トウキシャクヤクサン」が用いられます。

 

下半身だけが冷え、上半身には冷えを感じない、あるいは逆にのぼせるという人には、「ケイシブクリョウガン」や「ゴシャクサン」といった、漢方薬が用いられます。

 

また、手足の先だけが冷えるという人も多いことでしょう。このような場合の冷えには、「トウキシギャクカゴシュユショウキョウトウ」という漢方薬が用いられます。頭痛や肩こり、腰痛、といった症状に有効で、体力のない虚証タイプの人に用いられます。

 

一方、老化に伴う冷えもあります。このような冷えに対しては、「ハチミガン」が効果があるとされます。

 

 

健康管理と健康増進



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