漢方薬について

薬の併用

西洋薬を服用している人が、漢方薬を併用したいと思われる場合もあるでしょう。

 

現代薬と漢方薬を併用することについては、併用することで効果がある場合があります。たとえば、西洋薬によって生じた、副作用が、漢方薬によって軽くなる場合や、西洋薬の薬剤の量を減らされる場合があることから、今後研究が進み、両者の利点を生かした利用ができるようになることが期待されているのです。

 

しかし、その一方で、かえって弊害がある場合もあります。たとえば、ある種の西洋薬と漢方薬を併用した場合、動悸や頻脈が生じる例があるのです。

 

同じ組み合わせでも、良い結果が出るか否かについては、個人によって異なりますので、専門の医師に相談してから方針を決定する必要があります。この場合は、現代薬と西洋薬の両方を扱う医師に相談するのが理想です。それが難しい場合は、病名は何であり、どのような現代薬を服用しているのか、を、漢方の医師に伝えるべきでしょう。

 

また、漢方薬同士を併用する場合も、専門の医師に相談するなどの注意が必要です。たとえば、腰痛や高血圧などの慢性病の治療にある漢方薬を使用している人が、かぜを引いたり、腹痛を起こした場合に、漢方薬で治療したいと思うことがあります。そのような場合が、まず急性の病のほうの治療を優先します。そしてその間の慢性病の治療については、双方の漢方薬の服用時間を2時間ほど、ずらすなどします。

 

さらに、同じ人が慢性病を複数もっている場合もあります。このような場合は、ふたつの漢方薬を合わせて服用します。これを「合方」といいます。これは、もともとは別の漢方薬を合わせてせんじることを意味する言葉です。

 

漢方薬と気管支炎

咳や痰などに悩まされる気管支炎は、つらいものです。特にお年寄りの場合、夜になって寝るときに咳が出てとまらなくなるということがあります。そのような場合、漢方薬が効果を発揮することがあります。お年寄りに限らず、かぜを引くと、熱や関節の痛みなどの他の症状は消えても、咳や痰はなかなか止まらないということがよくありますが、このような場合にも、漢方薬によって症状が改善することがあります。

 

漢方薬は、通常、食前や食間に飲みます。しかし、咳が夜や明け方にひどくなるという場合は、就寝前に飲むと効果があるといわれます。

 

咳には、痰を伴う場合と、痰を伴わない乾いた咳があります。水様の痰を伴うような咳には、「ショウセイリュウソウ」などの漢方薬が有効とされます。この漢方薬には、気管粘膜の過剰な水分を取り除く作用があるからです。

 

一方、痰を伴わない乾いた咳の場合は、「バクモンドウトウ」や「ジインコウカトウ」といった薬を用います。気道粘膜に湿り気を与える作用のある漢方薬です。

 

また、お子さんで発作性の咳が出る場合がありますが、そのようなお子さんには、「ゴコトウ」が用いられます。一方、比較的体力がないお年寄りには、「ジインコウカトウ」を、さらに妊婦の方には、「バクモンドウトウ」を用いることが多いです。

 

ただし、漢方薬は、西洋薬と異なり、病名や症状だけから適切な処方を選択することは出来ません。病気の人それぞれの「証」といって、体質、体力、抵抗力、病気の進行具合などを総合的な判断して用いる漢方薬を決定するのです。証の判断は、漢方医学の専門家にゆだねるのが理想的です。ここで示した漢方薬は、あくまでもおおよその目安と考えてください。

 

頭痛と漢方薬

「釣藤散(ちょうとうさん)」は、しばしばお年よりに見られるような、のぼせや肩こり、耳鳴りなどを伴うような、朝の起床時の頭痛などには、効果を発揮する漢方薬です。この薬は、体力は比較的ある人で、動脈硬化、神経症、更年期障害からくる頭痛に悩んでおられる方によく処方されます。
「七物降下湯(しちもつこうかとう)」は、体力が低下ぎみの高血圧症に用いられる薬ですが、頭痛も用いられます。ただしこれらは胃腸が強い人むきであり、胃腸が弱い方への処方は避けられます。特に、七物降下湯は、胃腸が弱い人に用いると、胃腸障害や下痢を引き起こす要因になります。
したがって、胃腸が弱い人の頭痛に対しては、七物降下湯の代わりに「桂枝人参湯(けいしにんじんとう)」、あるは「半夏白じゅつ天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)」を処方します。これならば、胃腸障害がある方の頭痛に有効です。
また、「葛根湯(かっこんとう)」は、風邪薬として知られていりますが、配合されている成分のなかで「葛根湯(かっこん)」や、「麻黄(まおう)」、「桂枝(けいし)」、「芍薬(しゃくやく)」に、筋弛緩作用や血管拡張作用があることから、頭痛にも有効とされます。
ただし、漢方薬は、西洋薬と異なり、病名や症状だけから適切な処方を選択することは出来ません。病気の人それぞれの「証」といって、体質、体力、抵抗力、病気の進行具合などを総合的な判断して用いる漢方薬を決定するのです。証の判断は、漢方医学の専門家にゆだねるのが理想的です。ここで示した漢方薬は、あくまでもおおよその目安と考えてください。

 

健康管理と健康増進



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